三国志の諸葛孔明になった気分で乗り込んだ船は、妻と二人きりの貸切状態でした。
普段観光客が沢山いらっしゃるときには、大人一人@2000円ですが、二人しか居ない私達に対して「一航海5000円出せば、赤壁までの海上を往復してくれる」・というので、半ば強引にお願いしたという感じがありました。
でも、気持ちよく受けてくれたので実現しました。
この船で出港します。
たった二人の客の為に、船頭(この人はホテル福間館の主らしい)さんが出航前の点検をしてくれました。
誰も居ない船 乗ったのは、私と妻の二人きりでした。
「いざ!進軍!・・・」なんて、私は一人興奮していました。
船の後部座席で振り返ってみると、スクリューが巻き上げる海水のしぶきが絵になりました。
海上から見上げた灯台です。
出航して半島の先端を回りこんだ頃、ここに来る前に見てきた〈美保関灯台〉が見えました。
近づいてきた
だんだんと険しい岩がごろごろ目立つようになってきました。
この画面右手の先端を回ると、まもなく目指す〈赤壁〉になるはずです。
〈赤壁〉という名に惹かれて来たのですが、最初に見えてきたのは〈青壁〉でした。
諸葛孔明の命を受けた第二軍が隠れていそうな洞窟が、昼間だというのに何処か不気味でした。
「あ!やっぱり本体は山の上だ」・と思わず叫びたくなるような錯覚を受けました。
山の上の樹木が、遠景からでは〈騎馬の連隊〉が待ち構えているように見えます。
〈青壁〉から〈赤壁〉に変化しました。
軍師孔明の得意とする〈変化(へんげ)の作戦〉その1ならぬ地層の変化です。
岩肌が激しく割れた右手の塊は、
ひょっとしたら〈アリババ〉と〈40人の盗賊〉の隠れ家へ入る扉かも・なんて突然三国志とは関係ないことまで連想しちゃいました。
最も〈赤壁〉らしい絶壁で、岩石の中の鉄分が錆びたとでも言えそうな迫力が感じられます。
三国志に出てくる〈赤壁〉の現地を見ていないので、かえって私の空想はドンドン広がります。
義経が倶利伽羅峠で大奇襲をしたとか言う話しが三国志に出てくるはずはないのですが、私の頭の中は
「こんな急坂を攻め込んだのだろう」という点では、孔明とも繋がるのかな・などと思うのでした。
この辺りが〈赤壁〉の端っこです。
〈赤壁〉の岩盤が海中に沈んで、その端っこが突然海上に飛び出したと思えるような離れ島です。
釣り人が居たのにはちょっと驚きでした。
たぶん釣り客専用の送迎船があるのでしょう。
いつの間にか三国志がアリババになったりしちゃっても、ちっともおかしくないのが「旅」だと改めて感じた「旅」でした。